日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

2月27日(土) コロナと在るまち

やり残していたお金のことを思い出して、朝礼のあと慌てて郵便局と銀行へ。土曜は12時半で郵便局のATMが閉まる。

店のすぐそばにできたマンションは、木を植えたり側道の整備をしたりしていて、そろそろ完成らしい。造っているうちに、世界はコロナになってしまった。このあたりには次々とマンションが完成していっているけれど、スムーズに売れているのだろうか。まちは皆、新しい住人さんたちを待っているのだけれど。

まちを眺めながら歩く。柳ヶ瀬の入口に、野菜と果物の店が明後日オープンする。最近人の気配がなかった交番近くの広いテナントは、ついに不動産屋の張り紙が貼られた。跡形もなく片付けられた元ドン・キホーテの隣、サロン・ド・〇〇という看板の前で記念写真を撮っている楽しげな女性たち。オープンなのだろうか。交差点のカメラ屋さんは閉店され、存在感のあった自販機も撤去されてビニールシートになっている。角を曲がると、元・我楽多書房さんの隣にあった自由書房さんの事務所?教科書販売の拠点?駐車場が、すっかり更地になっていて驚いた。隣の居酒屋は緊急事態宣言からずっと休業している。

狭い範囲をぐるっと歩いただけなのに、こんなにまちの風景が変わっていることを、改めて感じる。コロナとともに、時はぐんぐん流れてゆく。

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土曜の午後は夕方までの3時間、私が店番担当。お客様も持込買取も多い時間帯なのでそうしているのだけれど、値付けや本の棚差しやSNSでの新入荷紹介やらを平行でやろうとするので、時に目がまわる。いい感じにスタッフにフォローしてもらいつつ、今日は乗り切る。

夕方前あたりから、なんだか大盛り上がりしている様子の声が聞こえてくるようになった。どうやら、通りに出てお酒を飲んでいる方々がいるらしい。ハライチの岩井が目撃したと言っていた「今日でコロナが終わりました!という日のような大歓声」のような感じ。静かな店内に、時おり悲鳴のような声が入り込んでくるのは、正直あまりよい気分ではなかったけれど、毎晩遅くまでお酒を飲んで笑うことが大切な息抜きだった人にとっては、このコロナの日々は、頭がおかしくなりそうなくらいつらいだろう。自分はたまたまお酒が飲めなくて、そうでなかっただけ。そう考えていたら、今日くらいいいかな、と思っていた。19時で店を閉めているときには、酒類提供時間も終わっていたので、すっかりまちは静かになっていた。正しいような、悲しいような、静けさだった。