日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

2月12日(金) 「今日もコロナか」

寒さが緩んできていることははっきりしているけれど、曇天は憂鬱だ。持ち上がりきらない気持ちのまま、市役所に歩いていく。今日で3度目だけれど、また書類の出し直しになる。ささやかな金額とはいえ、もらえる補助金はもらいたい。でもそのせいで、この日々の中に事務が積み重なることになり、気持ち的につらいこともある。

先日ラジオで、芸人のダイアン津田が「朝起きたときに、あぁ、今日もコロナかぁ、ってなんねん」と言っていた。毎晩のように芸人仲間と飲んでいたのに、それが一切できなくなってしまい、ストレスも溜まるばかりだし、なんだか気が塞いでしまうわ、と。

朝、目が覚めたら、コロナなんて無い世界だったら、どんなに嬉しいだろう!…でもそんな夢想は、一段と気分が塞ぐだろうから、思考を止めた方がいい。いま自分が10歳若かったら、なんてのと同じような、虚しい仮定。

暗い言葉しか並ばないニュースサイトはそこそこで切り上げて、目の前のこと、ほんの少し先のことだけを考えるようにしている。その点、やるべきことだらけなのは助かっているのかもしれない。今日の仕事、明日やるべきこと、ちょっと先に入った予定。その繰り返し。それが健全なのかどうかはわからないけれど、そうやって気持ちを守るしかない。

 

東隣でずっと工事をしていた店舗が、今日が仕上げらしく、ドアや壁を塗る塗料のにおいが漂ってくる。若い人たちが頑張っている美殿町で一緒に頑張ろうと思って、と、若い男性が鍼灸院を開かれるそう。まちが動いている、新しいことが芽生えているという心強さ。光。

同じ業者さんに工事をお願いしている、うちの工事も、ようやく動き出してもらえるだろうか。すごく楽しみだけれど、緊張もしてきている。開店して10年。初めて、工事らしい工事をお願いして、それらしいお金を使う(一般的な店舗工事と比べれば驚くほど低い金額です)。

こんな時期に、不安は尽きない。ただ、このまちに、本を好きで徒然舎に足を運んでくださる方の心に、いま、少しでも、明るい光が灯せるように。

ちょうど10年くらい前、あの震災の後に店を開けた時と同じ気持ちになっていることに、気づいた。

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