日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

2月14日(水) 油揚げ焼き

今日、鼻の頭のホクロを焼いた。

正確には、鼻の二つの穴の間にあるホクロ。昔からここにホクロはあった気がするが、どうだろう、40過ぎたあたりからなんとなく盛り上がってきて、だんだん気になるようになり、ついに、取ってみるかと思い立った。

完全予約制で、ひと月前に予約を取れたのが今日だった。形成外科を標榜しているが、とにかくお洒落な病院の佇まいも、働く人たちのキラキラしたネイルも、先生の前に“カウンセラー”なる女性が料金設定を説明してくれるのも、ほぼエステのようだった。戸惑いはあったものの、そういうものだと思ったら誠実な方だなと気持ちを切り替え、施術を希望する。

麻酔を打ちますよ、鼻の頭だからちょっと痛いです、チクッと痛くて、そのあと薬剤が入るときにまた痛いですよー、と言葉で聞いていた以上に注射は痛く、さらに薬剤は思っていた以上に長い時間注入されている感じがして、ぐっと手を握り耐えているうち涙が溢れ出てしまった。

麻酔はあっという間に効いてきて、触られても遠くでボンボンと感触がある程度になり、ものの数分で、では焼いていきますね、となった。

眼鏡を外し、目を瞑っているわたしにはなにも見えなかったけれど、鼻の頭に何かがさわる感触と同時に、焦げたにおいが漂ってきた。なんとなく怖くて口をメインで呼吸しているのに、感じる、このにおい。あれに似ている、油揚げをコンロで炙ったあのにおい。そうか、油気のあるたんぱく質が焦げるとこのにおいなのか。

あの麻酔の痛みに比べれば、本当にあっけなく、はい、終わりましたよ、と声が掛かった。小さな保護テープを貼られ、無理に剥がさないでくださいね、紫外線に気をつけてくださいね、と声をかけられて、終了。約9,000円を払って帰った。

しばらくは、マスクの下に、小さなテープを貼って過ごします。花粉の季節が始まったので、反射的に無意識に鼻を擦ってしまわないかが心配です。