首が痛くて目が覚める。ベッドの頭側に窓があり、そこから入ってきた冷気で冷え固まってしまったようだ。寝ぼけ眼で低温カイロを首に貼り、スヌードを巻いて二度寝。温かくなるにつれ痛みが治っていく。やっぱり、冬だ。
昨夜早めに床に就いた甲斐もあったか、昨日は60%だったのが今日は90%くらいまで復調。元気いっぱいじゃないのは昔からなので、疲れてるのが年齢のせいとも言い切れない。
朝礼のあと、新入荷ワゴンの本を棚に差す。差しやすい棚、つまり空いている棚が多くて胸が痛くなる。とにかく早く、立て直さなければ。事務をしつつも、値札づくりを進める。
北欧に旅行中のスタッフさんからLINEが届く。風景写真はどれもクリスマスカードのように美しい。モコモコに厚着した笑顔の彼女が見られて安心する。ライトダウンにニット帽なんて軽い服装の地元の人の姿が写っているのも嬉しい。それにしてもいつものようにLINEで写真が届く現代のすごさ。
長旅以来、胃腸が万全でなく、負担にならないものにしようとコンビニでおでんとおにぎりを買う。今日も作業場隣の工事は騒々しいが、負けじと今週分の「本日はダイアンなり シーズン2」を見始める。ヒコロヒーがゲスト。売れていないヒコロヒーが生電話をかけていた「よなよな」、(リアルタイムかどうかわからないけど)聴いたよなあ。
18時過ぎ、そろそろ工事も終わっただろうからと思い作業場へ行くと、若いのは帰らせたのか、おっさんが一人で工事を続けている。相変わらずうるさい。なんだよー、と思うが、こちらもやるべきことがあるので、radikoで NHKをまあまあ大音量で流して対抗しながら作業を始める。
しばらくすると隣から、ドリルやタッカーの音の間に、音楽のようなものが聞こえてきた。昔の携帯の呼び出し音のような、モノラルラジオなのか、100均のスピーカーなのか、とにかく安っぽい音。大文字さんがまだ営業されていた頃、ご主人が夕方によく聞かれていた昭和の懐メロの感じを思いだす。しばらく経っても止まらないので気になってきて、radikoを消して、壁に耳を近づけた。
「愛してーるーのひーびーきーだけーで」
あれ、スピッツだ。チェリーだ。え、おっさん、スピッツ聴いているの? と思っていたら曲が終わり、次に流れたのは「Winter, again」だった。イントロですぐわかる。あの時代の曲だもの。てことは、おっさん、同年代なんだね。そっか、わたしが、おばはん、なんだったよ。なんてことだ、自分をすっかり棚に上げてたんじゃないか。
少しだけ笑えたけど、後味はやっぱり切なくて悲しい感じで、48歳になったあたりから心の後ろ半分くらいのところにいつもあるシュンとした気持ちが、ワッと出てきそうになった。
いかんいかん、なだめよう、と思い、自然と暗記してる歌詞を口ずさみながら店に戻った。
「いつかふーたーりでー行きーたーいね 雪が積ーもーる頃にー」