日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

6月8日(木) あなたの分まで

昨日のうちに今日のミーティング資料はつくれていたので余裕の気持ちでスタートしたら、まったくもってバタバタと終わってしまった一日。

スタッフBさんが参加する月初ミーティングも、ひとまず今日で最後。なんとなく感慨深く感傷的になるが、日々引継ぎをしているスタッフたちはそんな感じではない。

火曜日の市場に持っていった釣銭の処理に時間がかかる。先月から、小口現金の管理を厳密にしたため現金出納帳を各所で合わせていかなくてはならない。でもそんなことはわたしにしか関係なく、手伝ってもらうこともできないので、イライラしてくる。イライラ。そうか、天気も下り坂だし、ホルモンバランスも崩れ出す頃合いだ。気をつけないと。

終わって少し値札づくりをしたら昼食時刻。気分転換がてらコンビニへ。こういうときは如実にメニューを選べない。行ったり来たりしてようやくラーメンサラダを買う。「だが、情熱はある」M-1敗者復活戦の続きから観る。「本日はダイアンなり シーズン2」の続きも観る。

アルバイトさんの仕事がなくなってきている、と聞かされ、なにからやればよいかわからなくなりテンパる。が、ひとまず気がかりなイベント準備に手をつける。富山で久々にイベント出店してから、そのシビアさとハードさを思い出し、やる気も出たが不安も膨らんでしまった。だがとにかく手を動かすしかない。

閉店30分前に店に戻り、「日本の古本屋」の入力レクチャーを少し。アルバイトさん皆少しずつ成長してくれていて、ありがたい分、仕事を準備するプレッシャーも強い。

明日は追い立てられないように仕事したい。

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朝起きてすぐに開いたSNSで目に飛び込んできた訃報。にわかには信じ難く、検索するもほかに言及されている人もおらず、まさか、という気持ちで慌しく一日を終え、改めてSNSを見ると、京都の善行堂さんもツイートされていた。静かに追悼されている人も多いのだろう。

昨年夏、初めて移転後のお店に伺った際、そっくりな弟さんが軽やかに店番されていて、「来られたことお伝えしますね!」と笑顔で応対してくださった。明るくきれいになった店内、けれど〈らしい〉雑多さは随所にあって、ふふふ、と楽しくなった。

帰り際、店内の、さとうゆうすけさんの絵を撮ってもいいですか?とお話すると、ぜひ!どうぞどうぞ!と勧めてくださった。

さとうゆうすけさんという素晴らしい絵を描く方が岐阜にいらっしゃるんです、と教えてくださったのは、あなたでした。さとうさんの展示を見に、旧店舗に来てくださったのは10年前でした。さとうさんの処女絵本が出たとき、あなたは迷わず100冊買い切りで注文したと聞きました。これからは、文字通りあなたの分まで、さとうさんを応援しなければ、と、思うのです。それくらいしか、あなたを悼む術がありません。

 

それにしても、わたしがおなじ境遇となったら、こんなふうに静かに、命を全うできるだろうか。みっともなく騒いで、曝け出して、同情でも哀れみでもなんでもいい、とにかく誰かの気を引いていたいと思ってしまうのではないだろうか。

大切に思ってくれている人たちの心を掻き乱さず、心配させないために、さいごまで隠し通すというのが、ほんとうの優しさ、思いやりなのだということを、痛切に教えていただいた。

胸いっぱいになると、笑っているのに涙があふれてしまう、繊細で豊かなあなた。わたしのなかのあなたは、コロコロと笑う人懐こい笑顔のままだ。