日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

10月7日(金)

こりゃあ寒い。雨までしっかり降っている。これで三連休前の平日金曜日ときたらお客さんが来るとは思えない。

朝礼のあと、月に一度のミーティング。昨夜作った資料は3ページに及んだが、いつも結局、各自の売上報告や思い出したことなど話しているうちに時間が無くなってしまう。売上の数字はシビアだが、重苦しいだけで何も生み出さないミーティングになっていないことが嬉しい。つくづくスタッフみんなのおかげだと思う。それにしてもイベントが立て込んでいて、しばらくなかなか心身苦しい。

開店時間になり、わたしは作業部屋へ。とにかくいろいろ進めていかないと。

ひとまず先日仕入れた山に取り掛かる。ジャズ、クラシック、オーディオ、日本映画、蓮實重彦平岡正明竹中労川本三郎安原顯、などなど。本を手に取り、仕分け作業を進めているといつも、お会いしたことのない元の持ち主の方の顔がフワフワと頭に浮かんでくる。こんな本たちを、こんな風に(きれいだったり自作カバーをかけてあったり線引きだらけだったり本がボロボロだったり、読み方にはその人の癖が出る)読むのは、こんな雰囲気の人かな。どんどんその方のイメージが濃くなっていく中で、仕分けが終わってしまうと、あ、おわかれだ、と、なんとなく寂しくなってしまう。

一区切りつけたところで弁当をかきこむ。アスパラ炒め、卵焼き、ミートボール、ごはん。液体味噌と乾燥わかめで味噌汁。

なんとか山の仕分けを終えたらもう18時。根を詰めすぎてヘロヘロだが、19時まで絵本の山の仕分けも進める。こちらもイベント用に準備していかないと。

もくもくと仕分け中、ふと、えげつない集金をしている案件を見てしまう。腰が痛い、手が汚い、かび臭い、目が疲れるーーそうして懸命に作業したところで本なんてたかだか数百円のものばかりだ。それでもわたしは地道に本を一冊ずつ手に取って作業をして、その本を必要としている人に手渡して、お金を得て暮らしたい。今どき流行らない、儲からない、古くさい働き方だと笑われようとも、虚業や口先でお金を得るような人間にはなりたくない。

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