日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月10日(水)

一日の大半を寝ていた。そんな休日が多いのだけれど。起きて、あ、まだ寝ていいんだ、と思えるのが幸せで、ベッドに戻ってゴロゴロしていると、いつのまにか寝てしまって、なんか妙な夢を見て、目覚めて、何か飲んで、またゴロゴロしていると寝てしまって、の繰り返し。なにも生み出さない、部屋が片付いたり衣替えが進んだりすらしない休日。暗くなってくると、なんとなく罪悪感や残念さを感じてしまうのも、いつも通り。

 

運動せねばならん、と思い、駅まで歩いて行くことにする。成城石井のドリップコーヒーが買いたい。いい加減な服に着替えて家を出る。どんどん本格的に暗くなっていくまちを歩いていると、考えるべきことが思い出され、思考が回っていく。

大市という、徒然舎として今年最初で最大だろうと思っているイベントが終わり、これからの店のことを思う。いわば外交のときが終わり、内政に目を向けるべきとき。

あとふた月弱で、徒然舎史上初めて、スタッフが産休育休に入る。うちはどうなっていくんだろう?打つべき手は打ってきたつもりだけれど、やはり怖さはある。3人中1人の社員の不在、不確定要素の多い復帰、そして徒然舎という店のこれから。すべて物事はいろいろな要素に左右されるのだし、なるようにしかならないし、その時々で必死に考えてベストを尽くしていくしかないことは、経験上わかっている。スタッフたちの前で不安な顔はできない。絶対に大丈夫だ、みんなで楽しくがんばっていこう、と自信を持って言えるように、わたしは頭を搾り上げながら考え続けて動いていくしかない。

 

駅に着き、せっかくなので三省堂書店を覗く。真っ先に、雑誌コーナーの平台や面陳棚がスカスカと空いてしまっているのが目に入る。入荷が少なくて完売してしまったのか、そもそも今の刊行量ではこのコーナーは埋められないのか。寂しい気持ちになり、店内をぐるりと歩くが、生き方指南エッセイ、タレント本、こうすると成功する系ビジネス書…うん、そうか、というタイトルが次々目に入ってくる。コミックコーナーがいちばん楽しそうで、時間があればゆっくり出会いを探したくなる感じがある。

せっかくだしなにか買いたいな、とまた書籍コーナーに戻ると、目立つ棚に「億稼ぐ」の文字とイキった顔があるのが目に入り、一気にげんなりしてしまい、店を出る。自分が古本屋であること、死ぬまで古本屋でいたいことを思い、ぼんやりとした不安がわいてきているのに気づいた。(ただ、別に戦前だって本が売れた好景気の時代だって、流行りだけの本も健康法本も金儲けの本も自己啓発本もたくさん出ていて売れていたのは体感でしっかり知っているので、短絡的に知性の低下だなんだとは思わない。)

 

ふるさと納税の返礼品のアスパラが届いたので、夕飯に4本を軽く炒めて食べる。驚くほど瑞々しい。太閤堂が毎年楽しみに頼んでいる、北海道夕張市の返礼品。アスパラガスが大好きだから選んでいるそうなのだが、夕張市だと聞くと、なんとなく、ふるさと納税制度としてすごくきちんと意義のあることをしているような気持ちになる。

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  • 今日聴いたもの…サンドリ(宮下はサンドリ聴くうち面白いなと思うようになった。高崎だし。そして松崎は面白い。)、銀シャリのおむすびラジオ(放送時間調整のためにかかる音楽、音量が大きすぎるねん!)