日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月4日(木)

日記を書けずにいた。

大市のあと、ひと息ついた頃に、自分自身のことを書いていただいた原稿ふたつに立て続けに目を通す機会があり、あれこれやりとりしているうちに頭も心も出涸らしのようになってしまい、自分のことを語る言葉を見失ってしまった。

それからあとは、先延ばしにしていた人間ドックにやっと行って身体の現実と向き合ったせいか、マスクを外す機会が増えて自分の顔の現実と向き合わなくてはならなくなったせいか、あるいは疲れと季節の変わり目とで年頃の障りが強くなったのか、それら全部からか、とにかく気落ちが激しく、「老衰」ということばかり考えてしまっていた。成長ではなく老いのターンに入っていることの悲しさと不安。

毎年恒例の、ゴールデンウイークがピークになる何らかの花粉症もつらい。特に目の症状が煩わしくて、仕事もしづらい。

みんなどうやってこの老い始めの時期を乗り越えていくのかなあと考える。全ての人間に平等に訪れる、老いと死。

できるだけ前向きに、穏やかに和やかに、気持ちをコントロールしたい。書けるだけ、日記を書いてみようかなあと思う。

 

ゴールデンウイークらしい天候となった今日。敢えて古本屋に行こうというお客様は少なめ、のパターンの方になり、周りでイベントなどのない、ふつうの土曜日くらいの雰囲気だった。カウント的には約70名のご来店。ちょっと肩透かしをくらったような気もしつつ、ただ、メディアで見るような圧倒的に浮かれた空気で店内が満たされてしまうのも恐ろしく、これがちょうどよいくらいなのかな、と思い直す。

東京からいらっしゃったお客様に、金華山ロープウェイの登りが90分待ち、下りが70分待ちだったとお聞きし、その異常さに震え上がる。ものすごい観光地に店があったら、ほんとうにしんどいだろう。

 

開店直後に勢い込んだ電話がかかり、先月太閤堂が店に飾った赤瀬川原平のポスターが売約済みとなる。10年以上探していて!昨日も一昨日も電話してしまいました!とおっしゃるお客様で、それは良かったねえ、とスタッフたちと話していたら電話が鳴り、「赤瀬川原平のポスターを買いたいのですが」とお話しになる…!実は先ほど売れてしまいまして、とスタッフが案内すると、「え!まだ開店して20分しか経ってませんよね!」とおっしゃり、ほんとうに申し訳なく思う。一点ものの古いものは、こういうことがある。

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