太閤堂は静岡の買取へ、スタッフAさんを乗せて。もう5回目になる。大市の準備や、この買取を含む良書の大量買取が続きその仕分けにも尽力してくれているので、スタッフのコンディションが心配。
もやっとした暖かさがなくなり、肌寒さを感じる曇天。急な暖かさで身体の何かの調子が狂っていたので、この時期はこれくらいがちょうどいい。とはいえ薄暗いのは、お客様も気分が上がらないせいか、売り上げにも影響するところがあるので嬉しくはない。
朝礼のあと新入荷ワゴンの棚入れ。海外文学、華道と日本画、美術、思想哲学、演劇の棚をしっかりめに手入れ。この週末もかなり本が動いたのでまた値札づくりのピッチを上げねば。
鍼灸院をされていた方の東洋医学書、木版入りの版画集などの大判美術書をそれぞれお買取。最近はとにかくお買取後の仕分け作業をスピードアップさせている。後回しにしない!
週に一度は食べているし苦にならない冷凍スパゲティで昼食(マ・マーのソテーナポリタンがデフォルト。粉チーズを家から持参することを覚えた)。作業場で、なんだかはまりだしている銀シャリのYouTubeチャンネルをぼんやり流しながら食べるが、人手不足も気になるので早めに店に戻る。
17時に店番を交代し、時々レジを打ちながら値付けをして閉店時間まで。太閤堂もAさんもいない終礼はサラッと終わる。
みんなが帰った後にAさんから連絡あり、今から市場を出るとのこと。ほんとうにお疲れだろう。では帰ろうか、なんて気分にはならず、太閤堂が戻るまで帳簿のチェックや売れた本の値札チェックなどして待つ。
ケンタッキーに寄って帰るけど何がいい、と連絡あり、チーズチキンフィレサンドセットを頼む。
家でそれを食べ終わった頃、店の近くに住む元アルバイトさんから、今日大学を卒業しました!と、とてもかわいい袴姿の写真が届く。いつもの、化粧っ気のない素朴な可愛らしさとは違う、メイクしてヘアセットして華やかな姿。なぜか反射的に、ウェディングドレス姿も綺麗だろうなあ、それ見たら泣いちゃいそうだなあ、と思っていた。「袴姿で一緒に写真を撮りたかったんですが時間がなくてとても残念でした」とある。そうだ、成人式のときも、開店前の店に来てくれて、みんなで写真を撮ったんだった。ご家族はちょっと戸惑われていたけれど(ただのバイト先の人たちなんだもん、そりゃそうだ)そんなふうに思ってもらえるなんて、なんて幸せなんだろう。大学入学のときから働いてくれて、毎週顔を合わせていた彼女の成長は、親戚のおばちゃんのように嬉しいのだ。
常連さんだった方にアルバイトを初めてお願いした日から約10年経ち、スタッフ・元スタッフそれぞれの人生に、徒然舎という存在、徒然舎での時間が関わっているのだなと感じる機会が増えてきた。それはとても光栄であり、嬉しいことであり、責任を感じることでもある。その人生に悪い影響を与えないように、いやな思い出にならないように、できるだけ楽しく有益な時間だと思ってもらえるように、と思ってしまう。子供は育てられなかったけど、こんなふうに人や、人を通じて社会と繋がって、次の世代になにかを遺せたのかもと思えるのはほんとうに嬉しい。ーーなんてこと、最近しょっちゅう思ったり言ったりしてしまってる気がする。老いてるんかな。