日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

10月11日(火)

あんまり楽しくはない感じの夢の中でうつらうつらしていたら、上の階の騒音がまた始まったので起きてしまった。ドンドントントンとトンカチを早めに連打するような音。ここ数ヶ月ずっと断続的に聞こえるので、時にカーッときて天井を棒でドンドン突いてしまったりするのだが(太閤堂になだめられてやめる)、一向になくならない。ただ、時折それらの音に混じって、金切声で叫んで喧嘩しているような声が聞こえることがあるので、あまり関わらない方がいいかなあと思う。

安いバゲットを薄く切り、明太子スプレッドを塗ってカリカリに焼く。ジャンクで美味い。冷たい牛乳でつくるカップスープの残りを見つけて、寒くなる前ぎりぎりセーフ、と思いつつ飲む。

洗濯物がスプラトゥーンみたいな悲惨な状況になっていたので、まず一回目を回す。それと同時に身支度をし、店に行くねー、と伝えて家を出る。

立て続けにあるイベント準備が、とにかく心配で仕方ない。今日明日と久々に連休だが、ずっとこのことが心に引っかかっていて、家で寝ているほうが疲れてしまいそうだった。一冊でも作業を前に進めて、全体像が見えてきた方が、心の安寧に繋がりそうだ。

作業部屋で、人文書のコンテナ仕分けを2箱終え、その後ろにある、文庫がたっぷり詰め込まれたコンテナに手をつける。それが吉と出るか、大きく外してしまうか、やってみないとわからないけれど、イベント用に、とにかく良さそうな文庫をたっぷり用意しようと思っている。イベントで売れるイメージがあるのと、文庫の在庫なら潤沢であることからの判断。しかし文庫と絵本の値付けは、とにかく嵩が増えないから忍耐力のいる仕事。

途中でラジオをつけ、TBSラジオ荻上チキの番組を流す。おじいちゃんが何か話しているな、と思ったら、シベリア抑留されていた90代男性の証言だった。ソ連軍から与えられた楽器で楽団を作って慰問していた、とか、赤十字の仲介で日本の家族と文通できていた、とか、知らなかったことがたくさん話されていたが、最も印象的だったのは、やっと日本に帰れたと思ったら「ソ連帰りでアカに染まっている」と言いふらされ、仕事に就けなかったという陰鬱な現実。故郷を去り、東京で職を転々とされたとのことだった。

20時まで作業し、コンテナ2つ分の文庫仕分けと値付けまで終える。進んだけど、まだまだ。外に出ると、風が冷たくて、これはもう寒い。

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冷やご飯で桃屋の刻みしょうがと刻みにんにくを使ったチャーハンと、麻婆豆腐、カットサラダ。風呂に入りつつ山田五郎YouTubeの又吉ゲスト回。それにしても山田五郎氏の、マウンティングのいやらしさが全くなく、その知識に楽しく耳を傾けさせる話術たるや。

夜、先日の東京美術館旅行と、東京での汗だく買取作業中の写真を家で印刷。施設にいる祖母に送ろう。わたしは相変わらず、古本屋としてがんばって、ふたり仲良くやってますよ、と。