日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

6月4日(日) もう、わたしだけの店、ではないです

心穏やかに過ごせそうな天気。開店前に柳ヶ瀬へ行き、多治見から出店しているSさんにブックワゴンの第二の人生の幸福をお願いし、週末のフェスが中止になり困られていると聞いたティダティダさんで「ちんびん」8本を買う。出来立てをどうぞ、とのことだったので、事務所で仕事中のスタッフにも配る。そういえばちょっと前の日曜に綿菓子配ったなあ、と、配りながら思いだす。お土産や差し入れもらいすぎじゃない?と夫に言われます、と、春からのスタッフさん。まあそうか、会社、ってこんなにのんきじゃなかったかもな。

開店すぐ、東京からのNさんが駆け足でお立ち寄りくださり、徒然舎トートバッグをご購入。いつもくださるかわいいこけしのお菓子までいただく。

店頭買取がきても太閤堂に対応してもらえる安心感もあり、今日は作業場での仕事に時間を割くことにする。夏の催事準備を中心に。価格帯の底上げはしなければいけないけれど、そのためには、より厳選したラインナップにすることが求められる。一冊ずつ手にとり、会場で棚に並ぶ様子をイメージして、取捨選択していく。意外と脳が疲れる仕事。

15時、作業場で弁当。昨夜の鍋で残った豚バラ肉とニラを、焼肉のタレで炒めたものをのっけただけ。創味シャンタンと味噌汁の具をマグカップに入れてつくった中華スープ。「本日はダイアンなりシーズン2」観ながら。花*花の人と歌うあたりでスタッフや太閤堂が作業場に出入りし始めて気もそぞろになり止める。

閉店までひたすら作業。イベント準備あるあるだが、だんだんもう何が売れるのかわからなくなってきて、なんならまったく売れなくて酷い売上になるようなイメージさえ生まれてきてしまう。頭を振りながら本を選び値段をつけていく。

 

仕分け作業をしていたお買取本のなかに、本屋さん紹介本があった。比較的新しく、写真も綺麗で、今も売れ続けているらしい人気の本。知ってはいたものの書店で出会ったことがなかったので、思わずページを捲る。SNSを通じて知っているお店がたくさん掲載されており、何店かの「開店までのいきさつ」「置く本の選び方」「店への思い」などを読む。お店自体や店主さんは知っていても、初めて知ることも多々書かれていて興味深い。

そうして読みながら、ふと、徒然舎は、こういうふうに、店とわたしを紹介してもらうフェーズは終わったな、と思っていた。先日まで夏葉社さんのサイトでWeb連載していただいていた「本屋さんと生活。」が、最長で細密で最高で最後の、自分語りだったんだな。

メディアで頻繁に紹介されるお店や、シュッとした店主さんたちを羨ましく思うこともあったけれど、もうそこは通り抜けたような気がする。寂しいとかいう感情は湧いてこない。なんだかとても気持ちが楽になった。

わたしが始めた店ではあるけれど、いまやわたしだけのものではないのに、わたしの店として紹介されるときの違和感、太閤堂やスタッフのみんなへの後ろめたさみたいなものが、どんどん大きくなってきているのを感じてきていたから。

f:id:tsurezuresha-diary:20230605015742j:image

  • 今日観たもの…ドキュメント72時間(海ねこの来る神社。震災を機にこの町に越してきた男性の言葉がよかった。大きな出来事に直面したときに、その人の本質が、生きてきた道が見えるなと思う。歳を重ねてゆくと顔にも出る。自分もきちんと生きねばと思う)、家ついて行ってイイですか?(終わりがけを少し。それにしても、この番組にしても72時間にしても、初対面のスタッフに対して、テレビカメラもあるのに、なぜ自分の深い部分を語れるのだろう。自分を語りたいという気持ちはかくも強いものなのか、それを引き出せるスタッフの腕か)
  • 今日聴いたもの…アンガールズのジャンピン(いい加減「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」観たくなってくる)、爆笑問題の日曜サンデー(作業しつつ)、#むかいの喋り方(エピソードトークを「つくる」プレッシャーたるや)