日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

10月24日(土) 今年初めて、野外で本を売る

起きられるかが心配で浅い眠りのまま、6時に目覚ましが鳴る。布団からなんとか体を引き剥がし出発。8時に名古屋古書会館に着く。ぽらんくん、リープくん、読点さんと合流し、お借りする長机を運び出す。途中、太閤堂が長机を大いに倒してわたしの頭に直撃し脳味噌がぐらっと揺れるハプニングに見舞われるも、なんとか大事は免れ、会場のヒサヤオオドオリパークへ向かう。

思っていたよりこざっぱりとした公園。コロナ下、出店数が抑えられていてテントも少なく、少し寂しく見える。が、人出の増えてきた午後、すべてがちょうどよかったことがしみじみ分かることになる。

すっかりご無沙汰だったせいでボケてしまっていた出店の「勘」は、手を動かしはじめたらぐんぐん思い出されてきた。一気にざっと設営してから、微調整を続ける。ブースから離れたり、いろいろな方向から歩いてきたりして見え方を確認したり、本の積み方並べ方、ジャンルの固め方を試行錯誤したり、必要なPOPを書いたりしてゆく。時間との戦いはストレスではあるけれど、心地よい緊張感もある。今回は搬入から販売開始まで2時間もあったので、比較的納得いく形でスタートできた。

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設営を終えて座った時ようやく気づいたテレビ塔。青空と、緑と、テントと、本と。特等席だった。

 

スタートしてすぐ、7月に辞めたスタッフさんが遊びにきてくれたのには、とても驚いた。コロナ自粛を乗り切って、店が再開した途端に決まった、ご主人の転勤。半年も一緒にいなかったけれど、普通ではない日々を共に過ごした仲間として絆が深まった直後の退職は、ものすごくショックで悲しかった。いまは東濃に暮らすそんな彼女が、一人でわざわざ名古屋まで来てくれたことが、とにかく嬉しかった。

いろいろなタイミングがたまたま重なって、徒然舎という場所で出会うスタッフさんたち。常に迎える側のわれわれにとっては、チープに響いてしまうけれど、なんらかの縁、をいつも感じている。ただ、自分のこれまでのアルバイト、正社員時代を思い出すと、そんなこと思ってるのは雇う側だけだろうな…言われたら気持ち悪いだろうし、強制したらパワハラってやつだろうな…とも思ってしまう。そんなこともあり、このあたりのことは、いつも心がけて「ドライめ」に踏んでいるだけに、こうして旧職場に笑顔で会いにきてもらえたことは、思いがけない嬉しさがあった。話していたら、ちょっと、ぐっときてしまって、でも耐えた。ほんとに嬉しかった。

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イベントが近づくにつれ毎回陥る「何が売れるのか全くわからなくなるゾーン」に、久々の今回も例に漏れず嵌まってしまい、思いついたものをありったけ持ってきてみる乱暴な品揃えになったけれど、いろいろな本をいろいろな方に手に取っていただき、思い思いに楽しんでいただけているのを見ることができて、やっとホッとした。

設営レイアウトも今日でほぼ固まったので、明日はわたしは店を守ります。店もたくさん本が減っていたので、がんばって出していかないとな!

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今日、何人かの方に「日記読んでます」と言っていただき、きゅーっと恥ずかしくなり、でも嬉しくありがたく思い、けれどやっぱり恥ずかしくなってしまった。大したことが書けないもどかしさは毎日あって、店のことだけでなくそのことにもまた藻搔いてしまうけれど、「吐き出したほうがいいですよ!」とも言っていただいたので、少し力が抜けました。何はともあれ書き続けてみよう。