日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

6月20日(土) 衝立もマスクも超えて

昨夜は眠りを優先したので今日書き終えました(6/21)

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相変わらずの悪夢続きで2時間ごとに目が覚め、もういいやと4時に起き上がったら、せいや粗品がカッコよかった。たぶん今日も眠いけど、閉店時間まで頑張ろうと思った。

 

気持ちのよい晴天。なにより湿度が低いのが本当に嬉しい。波打っていた本たちも少しずつ落ち着いてくる。

13時の開店から次々とお客様がご来店くださる。買取をお持ちくださる方も続き、汗ばみつつ本を運んでは黙々と査定し続ける。その間もスタッフと一緒に店内の人数を常に把握しなくてはならない。店内に5人程度入店されたら「満員」として入口にプレートを出すことにしていたが、出入りが慌ただしく、プレートを出したり止めたりを繰り返すうち夕方になった。閉店時間までお客様は途絶えず、今日は約60名ほどがお越しくださった。久々に手応えのあった一日。ぐったり疲れ切ったけれど、込み上げてくる喜びが、からだ中を満たしている。

 

久しぶりに来てくださった旧くからのお客様や、在庫をお尋ねのお客様など、レジで声を掛けてくださる方との会話が難しい。パーテーションがあって声が通りづらく、マスクのせいで口の動きや表情で伝えることもできない。他のお客様へのご迷惑を考えると声のボリュームにも限界があり、隣にスタッフがいるのでマスクも外せない。今日初めて、このことの厄介さに苛立った。簡単に解決できる方法が思いつかないのが、とにかくもどかしい。

一方で、言葉をうまく交わせないというストレスを感じながらでも、それでも、パーテーションもマスクも超えて伝わってくる思いがあることにも気づかされた。この小さな店にわざわざ足を運んでくださり、じっくり棚を見て、数冊の本を抱えてレジに来てくださる、そのお客様の姿そのものが、なによりのメッセージなのだ。

マスクをモゴモゴさせながらぺこぺこと頭を下げ、なんとか感謝の気持ちをお伝えできればと努力するが、それもまた難しいのかもしれない。とにかく良い本を店に並べ、できる限り居心地よくなるよう店を整え、静かにお客様をお迎えすることで、言葉なしにこの気持ちをお返しするしかないな、と、考える。

このコロナ禍では、これまでにない数多の障壁が生じるぶん、よりいっそう誠実に働いていかないといけないだろう。いいこともよくないことも、以前より敏感に、お客様に伝わるようになっているように思う。

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