日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

6月5日(金) 嬉しさと、心の断絶

あまり眠れないまま朝を迎え、緊張と不安で頭がぐるぐるしながら店に着いたけれど、スタッフのみんなと汗をかきながら大掃除をしていたらスイッチが切り替わり、気は張りつつも笑顔で営業再開できた昨日。特に告知はしていなかったものの、主にご常連の方々が続いてお越しくださり、あたふたするうちに初日の4時間の営業は終わった。大きなトラブルはなく、家に着いたら心身とも疲れがどっと出て、横になったらすぐ寝入っていた。とにかく再開できた、という達成感があった。

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2日目の今日。1日経験したぶん慣れたはず、と思って落ち着いて15時にドアを開けた。今日は、ご来店されるお客様に昨日ほどの高揚感はなく、スタッフの緊張感も少し落ち着き、しかしそれ故にさまざまな課題が炙り出されることになった。

人数制限を超えるお客様が同時にご来店され、暑い店外でお待ちいただくことになったり、そのために店内のお客様にお声掛けすることになってしまったり、買い取りお持ち込みが立て続けになって店の中と外を行ったり来たりしたり……試されるような1日だった。

 

ゆっくり見ていただきたいのに、人数制限をしたり、そのために時間制限をしたり、しなくてはいけない。お待ちの方がいらっしゃるので申し訳ないのですがそろそろ…とお声がけしなくてはならない。店に入れないお客様には、暑い中、外で待っていただがなくてはならない。

それでもとご来店くださるお客様や、世の中がこういう流れであることに理解のあるお客様は、ありがたいことにこのニューノーマルを受け入れてくださるが、やはり、これまでと違う徒然舎のようすに戸惑われ、腹を立てられる方も、やっぱり、いらっしゃる。それもまた、当然の反応だとも思う。

お互いのために、と思ってのことが、お客様との断絶を生んでいることを、実感させられる。

今どうするのが正解なのか。パーテーションと消毒さえあれば、これまでどおりに普通に店を開けることが正しいのか。今の対策はやり過ぎで、お客様に失礼なのか。

3月までの徒然舎は、店内いっぱいにお客様が滞在される時間帯も週に何度かあり、そもそも広い店ではなく柱なども多いので、通路が狭いというクチコミをいただいたこともある。買取の本を持ち込まれる方やご相談の方でレジ周りがごった返してしまうこともある。これまで通りの営業に戻して、その日常がもしまた戻ってくるのだとしたら、店内はどうなってしまうのだろう。お客様もスタッフも不安な気持ちにさせてしまうんじゃないか、思いがけず感染のきっかけを作ってしまうんじゃないか。

店を開けている時間は嬉しい一方で、スタッフ一同が張り詰めた気持ちで過ごすことになった。カゴをお渡ししたり、外国の方に説明したり、お声掛けをしたり。こんな日々がこれからいつまで続くのだろう。特効薬ができるまで?それまで気持ちは保つのだろうか?徒然舎が嫌にならないだろうか?わたしたちスタッフも、これまで通ってくださってきたたくさんのお客様も……

さっきまで、張り紙を修正していた。昨日今日を踏まえ、少し緩めたお願いの文章に変更した。お客様とスタッフ、両方の負担やストレスが一番少ない「お願いの度合い」を図っていく日々は続く。