日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月16日(土) 完全な正解など無い

昼だというのに薄暗く、肌寒く、激しい雨。ふつうの週末にこんな天気だったらやり切れないのだが、店の開いていない今はそんなことも思わない。かえって心が落ち着くようで、仕事が捗る。

再開について考え始めてから、また心がざわざわするようになってしまい、眠りが浅く、がっかりするような悪夢ばかり見て起こされて、連日エナジードリンクのお世話になっていたのだけれど、今日は気持ちが整っている気がする。でも念のためレッドブルは開ける。

 

ずっと連絡しなければと思っていた、写真家の平出くんと電話する。写真集が売れた分の精算について話した後は、近況を尋ねる。どうしているのかな、と、ずっと気になっていた。いろいろなことを考えながら、彼らしく、暮らしていることを知り、よかった、と思う。またいつか時が巡ったら、この店と、わたしたちを、撮ってもらいたいと、改めて思う。そんな時はきっと来るはずだ。

 

SNSで、各地の古本屋さんが再開したり、そのための策を講じたりしているようすを見る。弱っているときに他のお店のようすを見てしまうと、自分の至らなさが情けなくなったり、ときには単に嫉妬してしまったりしてしまうので、あまり見ないようにしているのだけれど、今日は、その事実が、背中を押してくれるように感じた。

皆それぞれに悩み、試行錯誤し、ときにバタバタしながら、道を探しているんだ。完全な正解など、世界中の誰もわからない今、おそるおそるでも、やれることを、やってみるしかないんだ。

じゃあ、まずは、と、入口すぐの漫画コーナーから手をつけた。床に置いてあるボックスを撤去し、しゃがまないと見られない一番下の段の本も無くす。長く置いている本を抜き、全体的に並べ直す。レジ近くの細い袋小路は、しばらくは封鎖しようと思うので、棚にある本を別の場所に並べられるよう、少し大掛かりなレイアウト変更も必要だ。店内の通路が狭くなっているところは、奥行のない本棚を新たに作ろうと、太閤堂と相談する。

本を触り、体を動かしながら考えるのがいちばん健全だ。あと半月。やれるだけ、やってみよう。

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『Norihito Hiraide』今日久しぶりに開いてみて、改めて、いい写真だなと思った、平出くんの写真集。近々、オンラインショップにも並べます。