日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月18日(月) 動きはじめる初夏

今日はそれをしようと思っていた。いちばん長く居てくれているスタッフSさんに、店の営業再開に向けた、店内のレイアウトを相談する。長く店番をしてくれていて、お客様の動き方や棚の見方、お支払いの仕方、買取やご相談のパターンなども熟知している彼女と、様々なシミュレーションをしながら検討し、細かく修正していく。

特に問題になるのは買取だ。「密」にならない対応方法を見つけなければならない。そもそも普段でも、あまり広くない店内での持ち込み買取の対応には手こずっていた。受け取ったり、査定したり、しばらく預かったり、買い取ったものを保管したり。すべてにおいてスペースが足りていない。(そもそも、開店から閉店まで自分ひとりで店番していた頃とは、スタッフの数もお客様の数も違ってきているので、レジの内側はとにかく手狭になってしまっている)

レジ横にある袋小路も、よくお客様同士がすれ違えなかったり、棚を見たいのに先客があると見られなかったりと、狭さ故の小さなトラブルが発生していた。そんなぎゅっとした感じも、古本屋なら風情として許していただけるかとも思ってきたが、今やこれも解消しなければいけない問題になった。

相談の末、レジ横にある棚を1本撤去し、通路を広くし、そこに買取用の机を置くことに決める。そしてその袋小路自体を立入禁止にし、そこに置いてある本は、なんとか別の棚に移し替えることにする。いろいろと大変そうだが、今できそうな方法はこれしかない。

ときにロールプレイングしながら、あれやこれやと話しているとき、Sさんが、いきいきとしているように見えた。わたしもまた、店内を歩き回りながら、だんだん気持ちが上向いていくのを感じた。

再開のためにやるべきことが、やっと、かたちとして見えてきた気がした。あとは、動き出すだけだ。

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夕方。よし、と声を出して立ち上がり、棚に手をつける。

長く売れていない本を抜き、新しい本を追加する余裕も考えながら、棚を詰めていく。封鎖する袋小路にある分の本が移せるよう、入口側に移動していく。なるべくしゃがまずに本が見られるように最下段の棚はあけ、床に置いていたボックスを片付けて足元を広くする。これほど大掛かりな棚移動はなかなかできなかったので、棚の奥を掃除したり、本の検品もしながら進めていたら、夢中になっていた。

暑い。汗ばむ。3月末のまま、店の棚も、わたしの気持ちも止まっていたけれど、もう初夏なんだ。