日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月1日(金) 1か月半ぶりの越境

なんだかそわそわしていたのか、朝5時くらいから1時間おきに何度も目が覚めてしまった。今日は3月10日の市場を終えて以来初めて、岐阜県から出る。

 

高速を乗り継ぎ1時間ちょっとで知立市に着く。思っていた以上に車は多く、特に高速を下りてからの道は普段と変わらないくらい混んでいた気がする。美殿町の店の周辺は車も人もほんとうに減っているので、久しぶりにこんな車列に並んだ。岐阜も、郊外はこんな感じなのだろう。

昼過ぎに正文館書店に着き、搬入と設営を始める。昼下がりから段々とお客様が増え、ときにレジに長い列ができそうになっている。小学生くらいの女の子から「映画「糸」の原作本ありますか?」と尋ねられたりする。レジに大きなビニールが下げられていたり、みんなマスクをしていること、離れて並んでいたりすること以外は、汗ばみつつせっせと設営している自分も含め、いつもの正文館書店さんのようだった。それが不思議だった。

設営の合間に少しだけ、店内を見て回る。書店に足を運んだのも3月以来だ。知らない本がたくさん出ている。気になるフェアが開催されている。かわいいマスキングテープがある。ドラえもん50周年のポーチほしいな。ほんの十数分、店内を歩いただけで、みるみる楽しくなってくるのを感じた。購買欲を思い出した。本屋っていいなあ、と思った。

 

夕方遅くに店に戻ってから、どうしても気になっていたので、持続化給付金の申請に手をつける。昨日、協力金の申請ができたのだし、忘れないうちにこの流れで!と思って始めたものの、いろいろと勝手が違う。全体的にこちらは親切かつ細かい指示があるため、昨日使ったデータが使えない。結局またほとんどのデータを作り直し、閉店時間ギリギリに申請完了。ほっとした一方、昨日の申請で送ったデータについて不安になり、明日電話してみることにする。きっと繋がらないだろうし、疲れてしまいそう。

 

久しぶりの遠出で景色を見たら、店が休業していたり、まちに人がいなかったり、そんなことにショックを受けたりするかな、と身構えていたけれど、往復の道中で心に残ったのは、緑がきれいだな、ということだった。

人間たちの騒動などどこ吹く風、時がきたから新緑は芽吹く。大好きな季節はちゃんと来ていたのだ。黙々と歩く家と店との往復では気づけなかったそのことを、目で見て確かめられたことが嬉しかった。ただ同時に、今年はこの季節を満喫できないのだな、と、寂しくなった。

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