日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

1月24日(金) あのローソンが閉店する

店の近くにあるローソンが、今月末で閉店する。商店街理事長によれば、30年は続いていたという。

平日の昼にはいつも決まって、チャキチャキと威勢のいいふたりの女性が働いている。長く一緒に働いてきたのであろうふたりの息のあった掛け合いが見ていて楽しく、コンビニらしからぬ人情のある店の空気を生んでいた。

閉店の張り紙があったよ、と聞いてから、なんとなく足が向かなかった。

徒然舎の開店に向けて、壁にペンキを塗ったり、棚に本を入れたりしていた2014年の夏には毎日のようにアイスカフェオレを買いに通ったローソン。ああ、ここで店を始めたら、このローソンに通うことになるんだなあと想像しながら往復する道中は、いろいろなことが楽しみでわくわくしていた。その頃から、店で過ごす日々の中にあったローソンだけに、いろいろな思い出ごと消えてしまうようで、本当に閉店することを確認してしまいたくなくて、なんだか行けずにいた。

でもお別れはしたいな、とようやく思えて、今日入ったローソンは既に「普通ではないローソン」になってしまっていて、狭い店内に工夫して置かれていた細々したお菓子や雑貨はすっかり無くなり、ちょこんと並べられたカップ麺や絆創膏だけがあるガラーンとした棚を目にしたら、胸がぎゅっとした。(「普通ではない状態」になってしまっているお店は、たとえ思い入れがないお店だったとしても、様々な人の気持ちを思ってものすごく悲しくなってしまうので苦手)

いつものふたりのうちのひとりの女性がレジだった。前で会計をしていた年配の女性が、帰りがけに何かを渡していた。小さなピンクのくしゃっとしたビニール袋には何が入っていたのかわからなかったけれど、「いろいろありがとうね、元気でね、ほんとね、ありがとうね」と、名残惜しそうに何度か言って、帰っていった。

わたしの番がきて、いつものように、からあげくんを頼む。思わず、「食べられなくなっちゃうの、寂しいなあ」と言うと「みんな好きやったもんねえ、ごめんねえ」と応えてくれる。「ふたりの元気な掛け合いが聞けなくなっちゃうのも寂しくて」「うるさいばっかりだったでしょうー!」「ふふふ」

「元気でね」「ありがとねえ」「また来るかもだけど(笑)」「そうよーまた来てよー!」そんなふうに笑って、小さな入口を出た。

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古本屋友達がいるおかげで東京で一番詳しいまち、池袋・目白を散歩しているので嬉しくなる