日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

1月22日(水) キャンプ

去年秋に買ったままだったテントを初めて張った。強風注意報の冬の琵琶湖畔で。

シートを広げるだけでバタバタと大きく波打ち、ポールを通すことすら困難、どんどん薄暗くなるなか、管理センターも終わり、このままテントを作れなかったら…というかテント自体が壊れてしまったらどうなるんだろう…という不安が押し寄せる。それを口にすると怖くなるので、iPadで説明書を確認しながら、とにかく必死に格闘する。まるで遭難するかしないかの瀬戸際のように。

日も暮れ果てた、2時間後。なんとか寝床を確保し、風を除けながらコンロで鍋焼きうどんを作るところまで辿り着くことができた。暖かい汁物が沁み渡る。ただ、夜中のトイレが怖いので水分を摂り過ぎたくはない。ホットサンドメーカーでステーキを焼いたところが夕食のハイライト。

電気毛布と電気あんかに助けられても、顔の冷たさや激しくたわみ続ける四方のシートが気になって、なかなか寝付けない。と、突然、テントのリビング側からガッシャーンという音。物が倒れるほどの風は吹き込んでいないはず……と思っていると、ガサガサガサッとビニールを漁るような音!恐る恐る、インナーテントの入口のチャックを少し開けると、鼻をつく獣臭が。と同時に、サササッと横切る黒く丸い生物が…!テーブル周りを散らかされた以外に実害はなかったものの、テントを畳むとき、マーキングのような跡を見つけてしまった。

そうだ、これが野外だ。

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朝、昨夜の荒れ狂う波音が嘘のように、澄んで穏やかな琵琶湖。それを見ながらの気持ちよい朝食のひととき、は一瞬で、チェックアウト時刻までに果たして撤収できるのか…というプレッシャーが押し寄せる。結局これにも2時間かかって、なんとか10分前に完了。管理センターを出て感じたのは、まるで関西蚤の市出店を終えた後のような、一仕事終えた後と同じ達成感と疲労だった。

貴重な休日の、休息だったのか、と問われれば微妙だったかもしれない。必死の設営で変な力の入れ方をしたのと、寒くて固い床で眠ったせいで、あちこちが筋肉痛だ。ただ、四六時中仕事のことを考えてしまう(嫌ではない)日々のなかで、急激に物凄い「非日常」を味わえたことは、強烈なリフレッシュにはなった気がする。そして今夜の自宅の布団は、ひときわ暖かくて柔らかくて幸せだ。

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雪が少ない