日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月26日(火) 書けない理由を探す

昨夜またベランダにテントを張る。前回は肌寒い夜気がちょうどよかったのに、今回は雨の前というのもあってか風もなく蒸し暑くて、寝るのは諦めた。春らしさを感じる暇もないまま、あっという間に過ぎ去っていった季節。

今日は夕方から雨が降り始めたので、これ幸いとベランダに出る。敢えての半袖Tシャツ。雨粒が薄いシートに当たり音をたてる。雨音と風が気持ちいい。寝袋にくるまりごろごろする。やっぱりキャンプは暑いより寒い方がいいなあ。でもこれからの「新しい日常」では、冬から春のキャンプ場はクローズになるのかもしれない。

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生産性のあることを一切しないで過ごした休日。どうして日記が書けなくなったのだろう、と、考えていた。

ひとつには、またフェーズが変わって、これまでと違う忙しさ慌ただしさに飲み込まれる日々になってしまったせい。店舗休業後、通販だけを全スタッフで支えてなんとかここまで持ちこたえてきたけれど、緊急事態宣言が解除された今、そろそろ店舗を開けなければならない。けれど完全には戻らないであろうその売上を支えられるよう、今後は店舗営業と通販を両立させなければならず、そのためには、これまでにない「システム」を作らなければならない。いつの間にか人数が増え「組織」であることを意識しなければならなくなった徒然舎。組織が苦手だった会社員時代を反面教師にしながら、しかし「組織」をつくっていかなくてはならない。新たに社員を受け入れる6月までに、と焦る気持ちもあり、慣れない仕事にストレスも疲労も積み上がっていく。

そしてもうひとつは、心の置きどころが定められずにいるせい。休業後、ただただ必死だったひと月半は、毎日苦しかったけれど、今はそういう時なのだと納得して日々を過ごしていくことができた。けれど今、分からないことばかりのなか、皆が手探りで動きだすしかないこの状況を、どう捉えていけばよいのか、そして自分は何をするべきなのか、心にしっくりくる答えがなかなか出ない。嬉しいような、困ったような、全力で頑張りたいような、それはよくないような、浮かれてしまいそうになる気持ちと、それを抑えようとする気持ち。自分の立つ場所が定められず、足元がふわふわして居心地が悪い。

やることだらけの中そんな気持ちが延々と交錯する、1日1日の区切りが感じられないような日々が、この1週間くらい続いている。実はこれまでも、毎日、日記に取り掛かってはきたのだけれど、定まらない気持ちのままではあまりにも取り留めなく、いろいろ見失ってしまって、書き切ることができずにきてしまった。

時は着実に流れ、店を再び開ける日も近づいてきている。早く、徒然舎にとっての「新しい生活様式」を見つけたい。淡々とでも日記を書ける穏やかな夜がほしい。いったん一息つける時間がほしい。キャンプに行きたい。