日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

11月1日(火) 揺さぶられ続ける日々のなかで

radiko荻上チキの番組を流しながら、昭和のマンガに値付けをしていたら、海猫沢めろん氏がNetflixの番組「100人の回答 人生最良なのはどの年代?」を紹介していた。人生の幸福度と満足度についても触れ、結局、40代は、なにかと低迷し、幸福度も底をつく年代なのだという話だった。また、荻上チキ氏が、メンタルヘルスのリサーチの結果として、不安感や抑うつ感は20代が最も高くメンタルヘルスは悪いが、年々良くなり続けていくというデータを示しつつ、若い世代は体力でなんとかなるが、40代はまだ不安感はそれなりにあるのに体力が落ちてしまうので大変なのかな、と話していた。調べてみたら同い年だった海猫沢めろん氏の口から「ミドルエイジクライシス」という言葉が出て、あ、なんか、そういうのかも、と、思った。

ゲスト:海猫沢めろん さん〜オススメのネトフリ作品 【Frontline Session】 - TBSラジオ「荻上チキ・Session」 | Podcast on Spotify

東京からノンストップで帰ってきた太閤堂と昨夜話していて、コロナ禍での極端な揺さぶり、という言葉が頭に浮かんできた。店を休業する、補助金が出る、店を開けてよくなる、イベントは無くなる、仕事なら県外に出てよくなる、イベントが徐々に再開される、 移動も緩和される……そのたびに、どうしたら古本屋として生き残れるかを考え抜いて、やれるだけのことをやってきた。

全世界的なサバイバルゲームをなんとか生き延びて、けれどもそれなりに負傷してきてはいるのに、傷が完治するより早く今、世の中はなんとなく全部が緩くなって、イベントも移動もかつて経験したことがないほど急激な加速度で推進されだしている。物価高でお金ないのに。

思ったような結果が出なかったり、毎年のこの時期のようではなかったり、イレギュラーなことが続くのも、コロナ禍による世の中の揺れがまた来て、風向きが、また変わってきているということなんだろう。

コロナで「ふつう」が揺さぶられていく日々に耐え、闘い続けてきた心身が、このやけくそに抑圧を解放しようとする世の中の空気に、ついていけていないのかもしれない。今ちょっと、古本屋であるわたしは、合ってないのかもしれない。

そのことに気づいたら、目の前の課題解決にはなっていないけれど、ひとつ心が楽になっていた。

また潮目が変わっているのだ。周りが気になる。うまくやっているように見える人を羨ましく思ってしまう。でも今は、じたばたせず、気持ちを無理矢理にでも落ち着けて、足を地に踏ん張って、こつこつ、丁寧に、仕事を積み上げていくんだ。そういうものには恵まれていないので、お金や人脈やバズりで一発逆転とはいかないけれど、かたく積み上げた自信と信頼は、かんたんに失うことはないはずだから。きっと少しずつでも、伝わっていくはずだから。

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