日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月6日(水) ベランダでテント泊

この休みに、絶対やろうと思っていたことがあった。

ベランダにテントを張る。

倉庫から、えっちらおっちら運び込み、ガサゴソと組み立てた。もちろん2ルームテントではなく、初キャンプのときに使った、安くて小さなワンタッチテント。端が乗り上げたりしつつも、とりあえず1人が寝られるスペースは確保できた。レジャーシートと銀マット、インフレーターマットを敷き、寝袋を持ち込む。先日買ったミニテーブルに、小さなLEDランタン。部屋でいれたコーヒーをモンベルのマグカップに入れて運び、ひと息つく。

ものすごく楽しい。

気温も高めで、寒くない。もちろん暑いほどではない。風景はないけれど、見上げれば天井のベンチレーターからかろうじて月が見える(雨の心配もないのでメッシュのまま)。時おり風を感じる。花粉で鼻がムズムズするのは仕方ない。キャンプ場よりは少ないだろう。

とにかくベランダなので、トイレもキッチンもすぐそこにある。スマホの充電もすぐできるし、Wi-Fiも届く。なにより、女ひとりが無防備に過ごしていても、それなりに安全だ。

風呂上がり、ペットボトルを持ち込んで寝袋にくるまり、ぼーっとしているうちに寝ていた。夜が明けてきて、鳥の声と、トラックの音と、どこかから寺の鐘の音も聞こえてきた頃に目が覚めた。みな寝静まり音のない世界に、それらが響き渡る、早朝の感じ。部屋の寝室では味わえない、この感じに目を覚まされるのも、キャンプのようで気持ちがいい。鳥の声がどんどん増え、まちの音も大きくなってきて、なにかしらの音がどこかでしている、いつも通りの世界に戻っていく。

そんな空気にうっとりしていたら、突然の轟音でテントが震えた。天気予報より少し早く、雷が鳴り始めてしまった。時々、ビカビカと光ってどごごごっとベランダの床にも響く。そして、ザーッと雨が来た。なにせベランダなので、寝袋をつかんで一歩で部屋だ。

眠ろうと戻ったベッドが、いつも以上にふかふかに感じて笑えた。ベランダテント、また、やろう。

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小さいけど月