日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

4月4日(土) 近くに「仲間」がいること

出勤前に長良のトロンチさんに伺い、お願いしていた新スタッフさん用のエプロン2枚と、スタッフさんに配布するための布マスクを受け取る。特に布マスクは、限られた時間のなかでたくさん製作してくださり、それも勿論トロンチさんというプロのクオリティで、本当に本当に感謝の気持ちしかない。

「千人針の事を思い浮かべながらマスクを作っています」というトロンチさんの言葉。古本屋である自分には、誰かを思いながら、祈るように、できる仕事はあるだろうか。こんな日々になってから、毎日ずっと考え続けている。

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明日からの休業を決められた、とTwitterで見て、気持ちがはやり、柳ケ瀬のティダティダさんへ。蒸しぱんと、できたておにぎりを買う。不安ばかりだけど、がんばろうね、と顔をみて(お互いマスクだけれど)話せることは、こんなに気持ちを安らげてくれるんだ。

また会いましょうね、と手を振って帰った。

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ロイヤルビルの横に自転車を止めた時から、自ずと目が向いてしまっていたので、ティダティダさんの帰りにツバメヤさんにも立ち寄る。自宅から出られず気持ちが参り気味の家族に送ってあげたくなり、どら焼きとマドレーヌを4つずつ買う。自分用には、毎年本当に楽しみにしている、綺麗な濃緑色の草餅を。

袋に詰めていただいている最中、いつもならそんなこと出来ないのに、「ツバメヤさんは、ずっと開けられるんですか?」とお店の方に尋ねていた。そこからしばらくお話しして、そろそろ名乗らなければと思い名乗ると、もう判っていてくださっていたことに驚き、恥ずかしくなる。

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仕事を終えたあと、近くのスーパーへ行くと、お隣のOGUTEIさんご夫婦に出会う。しばらく休業されると貼り紙があり、けれど今日一日もずっといい匂いが事務所に漂ってきていて、どうされるのだろう、と気になっていたので、お話できてホッとした。

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外出自粛要請どおり、人通りの絶えた商店街を眺めながら(それ自体は嬉しいことなのが複雑なのだ)、自分たちが今できることをそれぞれに模索して、もがいている人たちはたくさん居る。苦しいのは自分だけじゃない。

頭ではそう思っていても、心細さはどうしても消えない。

そんなとき、数分歩けば顔を見られる「仲間」がいることの、心強さたるや。

ふだんは、そこに居る、そこに在るとはわかっていても、自分の仕事に追われ、日中に店を抜け出す余裕もなく、お互いに訪れることができなかったお店の人たちと、皮肉にもこんな非常事態だからこそ会えて、話すことができる。共感しあうことができる。そのことの大きさが、ものすごく沁みる。