日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

1月2日(月)

あなたの人生の物語」を全部読んでしまいたくて夜更かししてしまい、昼過ぎまで起きられなかった。目もまだ少しショボショボする。でも後悔はない。SFなんて読むのはいつ以来だろう。そもそもあまり読まないジャンルで、さらに翻訳物は苦手なのだけど、読めてよかったと思う。耳馴染みのない難しい語彙も多かったし、すっきりとわかりやすい感動が残った、というわけではないので、話すことでこの感情を整理したくて、映画「メッセージ」は前に観たという運転中の太閤堂にどんどん話しかけるが手応えがない。それでも話しているうち、漠然としたものが見えてきた気がした。かつてない場所から、〈わたしの人生の物語〉を見るような。

 

正月にするべきことのため、名古屋へ向かう。今年95歳になる祖母の暮らすホームへ、6回目の年女となる母、そのひとつ上の父とともに行く。

節目節目のこうしたことが、とにかく苦手だった。ふだん、家族親族と離れた土地で暮らしているときには意識しないで済んでいる現実-自分の本当の立ち位置-に目を向けさせられる、苦しい行事だった。時は流れてゆく。二度と戻らない。いくらでも感傷的になれる。思い詰めれば、自分の生き方が正しいのかすらわからなくなる。

今もまだ、そんな気持ちは心の底にあって、俯いてしまうとその底を見てしまう。ただ、重ねてきた年の分だけ、それを見ないようにする術を身につけてきたことに気づく。不安や悲しみが忍び寄ってきたら、更年期のせいだ。今は生きている。今は楽しい。それで十分じゃないか。

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