日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

8月2日(金)

太閤堂は朝から名古屋古書会館へ。歩いて出勤したので30分くらい汗が止まらない。正常なほてりか更年期のほてりかわからず気持ち悪い。カウンター前のセット物を棚に出しているうちに開店時間。この猛烈な日差しと暑さの中お客様が来るとも思えず、新刊書籍を出す作業を進める。

店頭買取に対応していると、慌てた様子の男性が「中を見てもいいですか」と大判の画集を隣のスタッフに手渡した。カレル・デメル。パックを開けてお渡しすると、パラパラ見てすぐ購入され、送ってほしいと早口におっしゃる。岐阜で開催されているという総合文化祭にいらっしゃった、関東地方の高校で美術を教えておられる方だった。そうか、よくわからないイベントだなと思っていたけど、そういう方々が来られていたのね。「火曜水曜が休みとは!今日はもう新幹線の時間が近くて、ゆっくり見られなくて残念ですよ!」と仰られ、わたしも残念。

「夏の古本市・名古屋」は盛況で、古書会館のエアコンが負けているとのこと。ひとまず集客できているとわかり安心する。

買いに出かけるのもしんどそうだったので、家から持参した蕎麦と、冷凍揚げなすの南蛮で昼。ゆで卵や納豆もあったけど満腹になり食べず。「本日はダイアンなりシーズン2」奈良。

そのまま作業場で「阪神 夏の古書ノ市」の準備。お盆休みも挟むので、あまり時間はない。焦る。どうしても、いつまで経っても、イベント前はナイーブになってしまう。全然売れないんじゃないか、全然足りないんじゃないか、ずっとそんなことを考えてしまう。会場で設営、陳列している時も、かなり苦しい。心身ともにしんどくて腹が立ってくる。けれど初日がはじまり、棚の本が少しずつ減っていくのを見ると、安心して、楽しくなってきて、また出たいなあと思う。それの繰り返し。ひとまずあと3週間弱は、ヒリヒリしながらの準備が続く。

閉店と同時に会場の太閤堂から「夏の古本市・名古屋」の売上速報が届く。イメージしていたくらいは売れていて、 スタッフのみんなにも伝えてホッとする。

f:id:tsurezuresha-diary:20240803011309j:imageサイン本を買取した岡崎裕美子さんの歌集『わたくしが樹木であれば』。どきりとする歌が何度も目に留まり、密やかに、読んでいる。

  • 今日聴いたもの…83 Lightning Catapult(なぜか夢に三四郎・相田が出てきたので、どうして?と思いながら早朝に聞いた)、アンガールズのジャンピン、加藤さんと山口くん(音は聞きづらいし固有名詞もポンポン出るし、よほどどちらかのファンじゃないと聞けないラジオだよなあと思いながら、さらっと聞く。内田鋼一とかそんな話してるんだもんなあ)

シャンディガフ

シャンディガフ

少し残業しながら、昨夜見た去年の配信をまた少し見る。サカナクション5人でやる「勇気がない」と言い、休んでいることを「怖いんだよ、怖い」と言う。その姿が、胸に迫る。視聴者も少なくてより内輪な雰囲気だったこの頃の配信では言えたけど、今はもう言えないんじゃないかな、と思ったりもする。今頃、ツアー完走の揺り戻しで苦しまれているのかなと、やっぱり思ってしまう。

病でなくとも、若くて満ちていて真っ直ぐ進めたあの頃のようにいかない悲しさは、よくわかる。ようやく少しずつ、受け止め受け入れられるようになってきたところ。諦めることと諦めないこととを見極めることなんだ、と思う。

10年前のサカナクションのキレキレなライブ映像を見ても、今よりすごくいいとは思わなかった。キャンバスに向かえなくなってからのマティスの切り紙絵が好きだ。子猫子犬より、10歳を超えてからの猫や犬が特に可愛い。おじさんくさい立ち方になってしまったと自ら嘆く今の山口一郎さんと、彼の病に翻弄されながらも受け入れ受けとめバンドとしての音楽を作り上げるメンバーによる今のサカナクションがいいなあと、しみじみ思う。

またライブに行きたいな。どうか皆さんが健やかでありますように。

(取り留めなく書いてたら単なるファンレターになったな)