日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

10月4日(火) 好きなことを仕事にしているのだから

今日は市場へ行くことにしていたけれど、イベント準備や出張で、溜まりに溜まった事務の山が心の澱になってきているので、太閤堂だけ行ってもらう。

なんだかお腹が空いて、ゆっくり火を通してみるといいらしいスクランブルエッグをのせたトーストと、アイスコーヒー。朝食バイキングのようなスクランブルエッグを湯煎でつくる心の余裕はなかなか生まれない。

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もろもろを片付けてから、店へ。店の営業はないもののスタッフは出勤しているので、驚かないでね、と連絡してから入る。目につくものから順番にこなしていく。取次への支払い、月末の吉祥寺のホテル予約、「美殿町本通り」のマップ用アンケートのデータ整理とデザイナーさんへの連絡、公費書類の再発行、出張旅費の精算、備品の発注、月末分の帳簿確認……

合間に、スーパーで買ったミニサラダとおにぎりを机でさっさと食べる。

夕方、商店街理事長と待ち合わせて、商店街のカレー屋・さなえ食堂さんに、「美殿町本通り」出店者さんとボランティアさん用のお弁当についての相談へ。とにかく人見知りで緊張してしまって、商店街の方ともなかなか気軽にお話ししたりできないので、こうして間に入ってくださる理事長あってこそのイベントだよなと改めて思う。理事長の熱意がなければ、このイベントなんてすぐ立ち消えてしまうだろう。

17時過ぎにスタッフは帰り、そのあと太閤堂も帰ってきたけれど、わたしは終われず、結局19時半過ぎまで。その間に太閤堂は、木曜搬入の名古屋古書会館での即売会用の積込を終えてきた。

働いたなぁーと思えたので、久しぶりに王将へ。ミニサイズの王将ラーメンと唐揚げ2個、野菜炒めをシェアして、餃子を2個もらった。平日のせいもあってか店内は9割男性。みんなの胃袋を支えている。カウンター越しに、忙しく働く厨房を眺めながら食べる。こういう店は落ち着くなあと思う。

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昨日は、嫌な記憶を呼び起こされて、嫌な気持ちが湧き出してくるあの言葉を久しぶりに言われて、そのもやもやを抱えたまま、うまく日記を書けないまま、タイトルだけ書いて寝てしまった。

古本屋という仕事は、仕事と思われないのか。そりゃあそんなに稼いではいないし、修業もしてないし、小さな店だし、Tシャツにジーンズだし、それに、女だけど。これでも開業して13年経って、スタッフも増えて、法人化もして社長になって、社会保険料も払って、税理士さんも社労士さんもお願いして、それでもまだ「趣味」だと思われてしまうのか?

自分の人生に価値を見出せなくなった時に出会った「古本屋」という仕事を、生業として、きちんと仕事として一生続けていくことを目標に、ここまで頑張ってきただけに、当初から言われ続ける「趣味」という言葉を今また聞くのは、かなり、ショックで、ふつふつと湧き起こる気持ちがあったのだ。

……ただ。一晩経ち、店でもくもくと仕事している時にふと、こんなことを仕事にできているなんて、こんなことばかりの日々を送れているなんて、よっぽど幸せなことだよなあと思えてきてしまった。自分が一番好きで、興味があって、飽きない、本というもので商売をして、人並みに暮らせているなんて、まったく奇跡的なことなんじゃないか。

なんだかんだいって、自分が一番好きなことを仕事にできているのだから、それでいいじゃないか。他人から趣味に見えようが、貧乏に見えようが、呑気な人種に見えようが、現に仕事にできているのだから。

わたしは「古本屋」という仕事に誇りをもっているし、卑しいとは思わないし、知性も感性も必要だし、とにかく深く面白い仕事だと思っている。死ぬまで突き詰めていける、「一生の仕事」だと、思っていますよ。