日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月25日(火) 遠き市場の日々

今日は業者市運営のために名古屋へ、必要至急の外出。

前回の市場以来ひと月以上ぶりの名古屋は、街のあちこちがどこか変わってしまっているようだった。ズボッと建物が消え、やっつけの駐車場になっている風景はショックだった。

古書会館の中では水すら飲めず(お昼のお弁当はずっと禁止になっていて、せめてもの慰安に最近は市場仕事の後ペットボトルは配っていたのだけど、再度、全部の飲食が禁止になった)、市場の楽しさがまた削られた。

名古屋の業者市では、日当が係員に支払われるわけでもなく、古本屋がボランティアで担当の市場を運営している。毎回の市場で少しだけ手数料をいただき、そのお金で昼にみんなでお弁当を食べるのがささやかな喜びで、積み立てたお金が貯まったら暑気払いの宴会と、泊まりで忘年会に行くのがご褒美だった。

今やすべてのご褒美が消え、売り買いのためという必要な機能だけの場になってしまったのは、本当に寂しい。

市場に並ぶ本を肴になんやかんやとダベる、酒を飲めばすぐご機嫌になる、ふだん一人で黙々と仕事しているぶん市場では饒舌にはしゃぐ、結局は憎めない古本屋のおやじさんたちの姿を見たいのに。また、戻ってくるんだろうか、あの日々は。

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市場での、わたしの担当はレジ。誰かが置いて、いつのまにか台座は欠けていて、でもそのまま置いてあるタヌキと一緒に働いた。

このガサツな雰囲気のカウンターの風景が、なんとも古本屋業界らしいなあと思って、撮った。笑える。でも、嫌いではない。