日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月19日(水) Distance

ずっと、この半年くらい、頭と心の一隅を占め続けていた補助金の事業報告書を、昨日なんとか8〜9割完成させたので、心のつかえが少し減る。あともう一踏ん張りだ。本来なら10日後だった古本屋講座も、先週延期を決めたので、出鼻を挫かれて残念ではあるけれど、心を落ち着けて時間をかけて準備に向き合える気がして嬉しくもある。

本当なら今日は、豊田市美術館にボイス+パレルモを観に行く予定だった。古本が入荷するたび気になって、でもすぐに売れてしまうヨーゼフ・ボイス。すごく観たかった。昨夜まで行く気でいたけれど「やっぱ、あんまり、よくないんじゃない」という太閤堂のことばでハッとして、しゅんとして、断念した。そうだよな。今朝も、市長が、防災無線でいろいろ呼びかけていた。愛知県が、近いのに遠い。

なんだかどこも出かけたくなくなってしまい、でも、ずっと家にいるとよくない感じがして、駅に行って食料を調達した。ミスドでは学校終わりの女子高生が大声で盛り上がっていて、そうだよな、ミスドってそういうところだよな、と思いながら、テイクアウトにした。改装オープンしたヴィドフランスは狭くなっていて、その皺寄せはイートインコーナーにきていた。たむろできない間取り。成城石井でも気分は盛り上がらず、確か前食べて美味しかったベル食品レトルトカレーだけ買った。

スーパーで、皮付きヤングコーンを初めて見た。おすすめの食べ方、という張り紙どおりグリルで焼いたけれど、青っぽさが少し苦手な感じで、マヨネーズをたっぷりつけて食べた。これが今日いちばん達成感があったこと。

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一枚の絵と、一行の言葉の力。今日マチ子の『Distance』を開くと、一年前の気持ちがどっと感傷的に思い出される、と同時に、あんなにショッキングだった日々のことを今は忘れて暮らしていることに驚かされる。そして今もまだ、暗い気持ちが覆い尽くす日々のなかに生きているのだということを思い知らされる。あまり意識しないように気づかないように暮らそうと努力しているところもあるので、その現実に向き合うのはつらいことだったりもする。

1ページごとに、びゅん、びゅん、と感情が押し寄せてくる。とても、よい本で、いま描かれるべき、読まれるべき本だと思う。ゆっくり読んでいこう。

読むうち、日記はいいなあという気持ちも思い出して、またここにふらっと戻ってきた。

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