日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

5月3日(日) まちの仲間と話す

通販で売る本を店の本棚から黙々と抜いていると、なんとなく気配があって、振り返るとガラスの向こうにご近所の喫茶星時Gさんが手を振る姿が見えた。ドアの鍵を開け、下ろしているロールスクリーンをくぐって顔を出すと、ホームページ作成をお願いしているIさんも一緒だった。歩いていて、たまたま出会ったとのこと。とくにIさんは久しぶりで嬉しくなる。

少し話していると、店の角を、近くの「まちでつくるビル」に入居するデザイナーWさんが通りかかった。挨拶をしていると、斜め向かいの美容室ミトノヘアーさんから、お客様を見送るオーナーさんご一家が出てこられた。お見送りの後、こちらに合流され、なんとなくソーシャルディスタンスな感じで、また少しお話をした。

ほんとうにたわいのない会話。休業協力金や持続化給付金の申請のことや、最近の暮らしのこと、あったかくなりましたねえ、とか。けれど、その数分で、ふと我に返っていた。

そうだ、このまちには、顔見知りの(自営業の)仲間が暮らしていて、それぞれに頑張っているのだった。自分のサバイバルに必死すぎて、見えなくなっていたじゃないか。

人付き合いは得意な方ではないので、ゆるい繋がりしかなかった、まちの人たち。けれど、緩やかな関所封鎖状態にある今、顔見知りの人がまちに歩いている姿を見かけるだけで、すごく安心できる。向かいの布団屋さんとあられ屋さんと薬局さんが休業されず、店の灯りがこちらから見えることもすごく頼もしい。時折、お店の方同士が立ち話をしているのがガラス越しに見えて、そこに加わることはなくても、いい光景だなあと頰がゆるむ。

いろいろな偶然や縁で、この場所に店を構えて。そしてこの事態をここで迎えて。他の場所、別のタイミングではなく、今ここだったことで救われた面は、ほんとうに大きい。

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通勤の道中に見かける花が、目と心にものすごくしみる。自然いっぱいのところに行ける日が恋しい。