日日古本屋

岐阜の古書店・徒然舎店主の日乗です

4月23日(火)

なんだかもうすっかり書けずにいるのだけど、毎日十数人、ここを覗いてくれる人がいて、申し訳ないなあとか、面白いなあとか、なにを期待されているのかなあとか、思ったりしている。

 

ここ数日なぜだかなんとも治せなかった胃腸の過活動。昨日、法人税消費税を納め、復職を控えた育休スタッフと話して社労士にメールし、岐阜駅本の市以来はちゃめちゃだった帳簿と現金在高をなんとか合わせ、倉庫に籠って関西蚤の市の準備を八割方終えられたら、やっと、おさまってきた。この仕事は大好きで、これ以外の仕事をしたいとは思わないけれど、ストレスを感じていないわけではないのだなあ、と、時々思い出す。

 

久しぶりに母と名古屋で会い、ぶらぶらと買物していると、思いがけない再会が。約10年ぶりにお会いしたその方は変わらず優しくて素敵で、嬉しくなりお話ししていると、つい先日もうちの店に来てくださり、そのときに求めた本を読みながら、わたしのことを思い出してくださっていたとのこと! 胸がいっぱいになる。

10年前の、いろいろな意味で小さかったわたしと店を知ってくださっている方に、今またその店を営む者として再会できたこと、すれ違いでお会いすることはできていなかったけれど、店を愉しんでくださっていたことを知れたことが、本当に嬉しかった。

f:id:tsurezuresha-diary:20240424015647j:imageバスより

14時を過ぎたJR名古屋駅1番ホームの期間限定ラーメン店は空いていて、線路と同じ向きにざざっと続くカウンター席を見たら、ここに古本を入れた木箱をずんずん積んで古本市やったら壮観だろうなあ、と、自然と考えていた。手前のテーブル席ではコーヒーとカレーを出して、本を読んだり列車を眺めたり。楽しそうだなあ。

具体的なイメージがどんどん湧いてくるけれど、しかし同時に、こんな一等地は、古書業界にはまわってきやしないことはわかってしまっている。やっぱり大手、やっぱり飲食業界だ。コロナ中の夢だったのか、たとえば新宿のハンズでの出店なんて、幻のように思い出される。

今日オープンの中日ビルにはレコードショップが入るというけれど、同じUSED界だとしても、動くお金の規模と仕組みがまったく違うのだろうなあと思う。そのビジネススタイルへの憧れは全くないけれど、なんとなくもやもやするものはある。

 

  • 今日聴いたもの…宮下草薙の15分(サンドリきっかけでかなり前に聞いてみたときは今ひとつで離れてしまったけれど、またもサンドリきっかけで久々に聞いてみたらいい感じになっていて、その短さも朝や家事のお供にちょうどよくて、Podcastを遡りはじめている)、ハライチのターン(#坂下千里子生誕祭)、空気階段の踊り場

4月13日(土)

今日も一日いろいろあったような気がするのに、夕飯を食べ終えた頃から、モワモワと「嫌なこと」「この先への不安」「疎外感」「焦燥感」が押し寄せてきてしまって、これはいかん、という感じに。やっぱりSNSはこわい。SNSが思春期の頃からあったら、ものすごくつらいんじゃないかな。

 

開店からずっとなんとなく静かなまち。週末感が薄い。本を手に取るお客様も、気もそぞろに見える。春、だなあと思う。

棚を設置して少し手狭になった作業場を片付けるべく、本の仕分けを進める。なんとかこの処理スピードを上げないと、いつまで経っても片付いていかない。これまでわたしが作っていた店の値札も、スタッフさんにお願いすることにして、いくつものバナナ箱に仕分けしていく。

昼はふらっとコンビニへ。食べたいものも思いつかず、ひじきのおかずとゆで卵を買い、無印のミニラーメンに味噌汁の具用の乾燥野菜を入れたものと食べる。「本日はダイアンなりシーズン2」宇治の続き。

 

大谷選手の通訳・一平氏の事件は嘘のような映画のようなことばかりだが、顔色を変えず活躍して結果を出し続ける大谷選手のメンタルの物凄さたるや。 スポーツ選手のメンタルを思う。そのメンタルを尊敬しているので、 サッカー日本代表の応援には力が入る。

自分が本当に大切にしていることに、気持ちを集中させたい。周りがどうであろうと、動じることなく、自分のやるべきこと、やりたいことをやっていたい。光陰矢の如し。

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4月12日(金)

名古屋古書会館に13時に着くはずのトラックが着いた、と10時半に着電。 太閤堂は朝礼後すぐに名古屋へ。

ともあれ最悪の底は脱け、店に着くなりバファリンを飲む。すごく効いている感じもしないが、動けはするので新入荷ワゴンの棚差しに手をつける。日本近代文学の初版復刻本多め。よく入荷するものではあるけれど、一定タイトルはよく売れて、値段もしっかりつく。久しぶりの入荷で、入ってすぐの新刊棚の下が潤った。

その日本近代文学の復刻でなく元版の方を少しずつお持ちくださるお客様からお電話があり、到着を待ちつつ事務。メールのやり取りではきりがなく、社労士にアポをとる。お客様が来られ、今回お預かり分のお支払いをして、また一箱お預かりする。

昼食を買いにスーパーへ。2割引のコーンサラダを食べてから、2割引のぶっかけ蕎麦(揚げ玉抜き)にひきわり納豆をのせて食べる。この組み合わせ、なかなかいい。「本日はダイアンなりシーズン2」は宇治。

そのまま作業場。映画パンフを、関西蚤の市用に仕分け直す。文庫も、100均用、特価本用、イベント用、店頭用に仕分ける。

名古屋から帰った太閤堂から、旧くからお宅に伺っていたお客様が亡くなられたと連絡があったことを聞く。遡ると、8年にもなる。直接お会いしたのは太閤堂だけだったが、ずっと交流を聞いてきていた。今年の元旦も、年賀状を送っていたはずだ。少し思い出を話していたら、お互い言葉に詰まった。思い出を語るには、まだ早かった。

作業場の隣の居酒屋は今日もたいそう賑やかで、心がざわつき、radikoNHKの音量をかなり上げる。緑内障の進行で中途失明された記者の方がレギュラー出演されている。大阪みんぱくの、触れる展覧会を手がけられている研究者さんが電話出演。コロナ中に行ったあの展示、本当におもしろくて“視野”の広がる経験だった。黙々と作業を進め、なんとか、目標としていたところまでやり切る。

店に戻ると太閤堂が、岐阜古書組合の総会から帰ってきている。どっと疲れた様子。そりゃあ、そうだろう。

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4月11日(木)

朝礼のあと、車で柳ヶ瀬の無印へ行き、無印週間に注文していた折りたたみ机とスタッキングできる丸椅子を受け取る。関西蚤の市に間に合ってよかった。無印は平日にも関わらずなんとなく賑わっている。秋からの柳ヶ瀬の核になってくれたらいいのにな。

火曜日の市場の売上や、あじさい堂さんから受け取った年明けの正文館書店知立八ツ田店での古書フェア売上を銀行に預け入れて、新札両替もする。「岐阜駅本の市」の売上をトンガ坂さんとDISCOVERYさんにお支払いしたことなど、帳簿をつける。

近くの企業の方が来店され、出張買取をご依頼くださる。すぐ近くなので太閤堂を倉庫から呼び戻し、行ってもらう。

気づけば14時を過ぎてしまい、慌てて昼ごはん。スープジャーの豚汁と、冷凍ごはん。おかずを用意する余裕がなかったのでチーかまもかじる。歯を磨き、ジャーを店に置きに戻るともう育休スタッフが来てくれていた。

作業場に移り、スタッフと話す。隣の椅子に座らせたお子さんは機嫌が上下しながら、全体としては不機嫌に向かっていく。 途中で買取から戻った太閤堂も合流。育休からの復職、という初めての事態に、スタッフも、会社としてのわたしも、戸惑うばかりで不安が募るが、なんとか道を見つけていくしかない。

慣れないことを考え話したこともあり、どっと疲れる。あまり仕事に身が入らない。作業場へ行くと、今日届いた大型のスチール棚を太閤堂とスタッフが組み立てている。業務用の頑丈なもののせいか、ちょっと難航しているようす。わたしは何もできないので店に戻り、カンカンカン!という金属音を聞いていると、設置できました!という写真が送られてきた。

店先の200円雑誌コーナー用の雑誌を仕分けつつ、本の値付けをしているうちに閉店時刻。スパイスカレーの匂いがしてくる。いま工事してる2階の店からだろうな。

f:id:tsurezuresha-diary:20240412011720j:image店を撮ったのに、メモリ不足か動作が遅くなっていたiPhoneが時差で撮っていた足

更年期の話と記録。

この一週間ほど、ホルモンバランス崩れのターンに入り、なかなかしんどい。このなんとも言えないしんどさこそが更年期ってやつなんだろうなあと思わざるを得ない、嫌な嫌なしんどさ。からだの中心から、いやーなものが湧いてくるのだ。それは「いやなもの」としか言いようがない。苛立ち、不満、焦り、不安、厭世観、諦念、投げやりな気持ち。気を抜くとそれらに気持ちを絡め取られそうになる。足がついていかないのに坂道を走り出してしまっているような感じ。

あちこち身体が少しずつ具合が悪くなってきて、体力がなくなり、意味不明に太り、そういう現実から、ああ、死ぬほうが近くなってるんだなあ、てことは今から何かやっても時間足りないんじゃないかなあ、と思うことが増えて、それでなにかずっと心のなかに、焦りと諦めが生まれているのを感じる。人間皆だいたいこのあたりで、もう、自分の人生はこういう感じってことだな(憧れてたあんな感じや、夢見てたこんな感じはないってことだな)、と先が見えてくるから、他人への僻み妬みや、勝手な見下し、嫌味な卑下、品のない開き直り、後先を考えない無神経さ、といった、「いやな大人」がボコボコと生まれてくるのだなあ、と、わかってしまった。そうはなりたくない、と思えど、からだから湧き出すものに、同じ成分が含まれていることにも気づいている。それが、ほんとうに嫌だ。ぼーっとしていたら、あっという間に醜くなる。

とにかく転がる心を落ち着かせるべく、こんな時期は、ゆっくり本に値段をつけたり、本の山を切り崩して汗をかいたり、帳簿をクリアにしていったり、とにかくこつこつ地道に作業して、結果がわかりやすく目に見えることに集中していたい。春はなにかとソワソワする・させられる要素が多くて、それでなくても苦手なのだ。先日は鍼灸院でメンテナンスしてもらった。東京の友達に会う計画も立てた。なにかしら前向きなことを見つけよう。自分が得られなかったものではなく、頑張って生きてきた結果、得られてきたものを大切にしよう。

とにかくなんとか乗り切りたい。あと何年、こんな思いしなきゃならんのか知らんけれども。

 

  • プロの芸人の喋りは本当に安心する。ありがたい。余計なことを考えさせずにただ笑わせる、って、絶対に難しい。ただ笑わせてくれるかどうか、心が安定できるかどうか、で、最近は番組を選んでるなあと思う。
  • ランジャタイのPodcastはじまって嬉しい

4月1日(月)

新年度になった。かといって店として何かが変わるわけではないのだけど、科研費が底をついたから新年度の日付で書類を作ってほしい、という先生からのご注文・ご要望が今年は特に目立ち、年度が変わる今日まで待って発送することになったお客様もいらっしゃる。書店文化の支援、という話があるけれど、消費税なし、キャッシュレス手数料なし、ということが夢のまた夢であるならば、研究者の先生方への科研費を上げてくれれば、必ず先生方は本をたくさん買ってくださるので、書店・出版文化の支援にも繋がるのだと思うのだが、いかがでしょう。(もちろん給与を含め待遇自体を良くしていただければよいのですが。)

 

朝礼のあと、新入荷ワゴンの本を棚に差す。今日はアートとジェンダー関係の本が多め。ジェンダー本を差す、いまは広く「社会」と括っている棚の、動きは速く、入荷は少ない。法律、政治、経済から社会学、世の中が見えてくるノンフィクションもこの棚にあり、今は教育、家族問題、福祉、そしてジェンダー関係もここに配架している。この棚はもっと充実させて膨らませたいと思っているのだけど、あまりにかたい研究書ばかりでは、という思いや、自己啓発や軽薄なビジネス本に近いものは並べたくない、という思いによって、入荷した本からの選定も難しく、なかなか思うような棚ができない。そして、よい本が棚に増えてくると、より売れていくので、また棚は空いていく。目指す棚の姿は年々アップデートされ、どれだけ頑張っても現状には常に満足できないので、棚はいつでも未完成で、永遠に未完成だろう。

 

作業場前の植木、葉っぱが出ましたー!とスタッフが駆け込んでくる。ほとんど諦めながらも、極寒の間は室内に入れ、外に出してからはまめに水をあげてくれていたのはスタッフなので、とても嬉しそう。一気に上がった気温に身体はびっくりしているけれど、植物は素直に喜んでいるなら嬉しい。

銀行と郵便局へ。住民税の支払い、新札への両替、通帳記帳。なんとなく、まちがソワソワしている気がする。

昼は作業場で、夕飯の残りのハンバーグを玉ねぎと一緒にトマトジュースで煮た煮込みハンバーグと、ゆで卵と、小分けして冷凍した80グラムのご飯。ハンバーグが思っていた以上に美味しくできて嬉しい。「ダイアンのガチで!ごめんやす」老神温泉回。地名が懐かしい。

早めに休憩を切り上げて、必死に仕分けと値付け。目がしょぼしょぼになりながら、なんとか「アリス」の口を値付けし終わる。珍しい絵本や、造本がいい洋書も多い。関西蚤の市で喜ばれることを祈って…

f:id:tsurezuresha-diary:20240403023153j:imageご近所のうどん屋「なお」さんがずっと「しばらく休業します」のままなので心配でならない

 

  • 今日聴いたもの…ほら!ここがオズワルドさんち(最終回。なんとなく聴く気持ちになれず、ようやく。真空ジェシカ、まだなんか怖くてハマれない。気にはなるのだけど。もちろん。)、アンガールズのジャンピン(なぜかジャンピンは朝〜昼間に聴きたくなる番組。下ネタコーナーはちょっと浮くけど)、宮下草薙の15分(聴くものがなくなり。今月のサンドリでの草薙が、以前よりいい感じだったので。前に言ってたような、喧嘩腰でバチバチという雰囲気ではなかったのはよかった。)、#むかいの喋り方(作業しつつ。忙しすぎてやめたくなる、んだなあ。実際のところつらいのだろうな)、こねくと(作業しつつ。パンサー繋がり、菅。この時間の生番組のなかでは一番よかった)

3月31日(日)

急激な気温上昇で、自律神経もホルモンバランスも乱れに乱れたか、しっかり寝たのに寝た気がしないまま朝になった。別に眠くないから、きちんと寝たけど夢を見まくっていたのだろう。

今日で一区切りの学生アルバイトさんから、体調不良で欠勤の旨、連絡がある。長く勤めてきてくれたなかで初めての病欠なのでは。ほんとうに勤勉で穏やかなスタッフに恵まれていて幸せだなあと思う。

朝礼のあと、カウンターの文庫、新書を棚に差す。文学が多め。

早めに作業場へ。倉庫から持ってきた本の仕分けと値付けの続き。以前仕入れた「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」ばかりコンテナ5個分のコレクションに手をつける。わずかにダブりがあるものの、ほとんどは一点ずつで、この量。元の持ち主の方の、コレクションへの強い情熱を感じる。全てを見切れず、続きは明日に。

[ここまで書いて寝落ち]

3月30日(土)

昨日も今日も、1,000文字書いて、アップした瞬間に、消えてしまった!許せない…やるせない…意地で思い出しながら書き直す…

……

気温は上がるが黄砂が酷いという予報。スタッフさんのマスク率が高い。

朝礼のあと、新入荷ワゴンの棚差し。今回は、本の本、日本近代文学が多め。「本の本」とうちでは呼んでいるもの(本や印刷の歴史、ブックデザイン、編集、図書館、書店、古本屋、古書蒐集、読書エッセイなど)は、人気のあるものはすぐに売れてしまうので、なかなか入れ替えすることができず、久しぶりに少し棚をリフレッシュできて嬉しい。日本近代文学は、まとまったお買取があったため、茶色い背の割合が上がってきて、かつてなく渋い棚になっている。売れるかどうかはわからないけれど、たまにはこんな棚も良いのでは。

「告知記事を中日新聞で読んで、本の市へ行き、そこで徒然“草”さんを知ったので来たんですが、いい店ですねえ!」と言ってくださる名古屋からのお客様。店名は惜しい感じだったけれど、内容は嬉しい。もう開催からひと月になるけれど、まだ岐阜駅本の市のことを話してくださるお客様が続いている。

それにしても体重の推移が悲しく、昼は春雨スープとローソンのチキンバーにする。足りない分は素焼きナッツで。「本日はダイアンなりシーズン2」赤ちゃんや子どもと戯れるダイアンは、いい。

今日こそは、と思い、作業場で本の仕分けと値付けを黙々と進める。関西蚤の市用のものと、その後のイベント用のもの。店用のものの値札づくりも並行して。本の保管量が増えてきて、作業場にも本棚増設をすることになり、片付けも進めながら18時過ぎまで。

店に戻り、4月後半のシフトを確定させて連絡。新アルバイトさんがなかなか決まらないので、少し不確定要素も残る。

今日は「世界ふしぎ発見!」の最終回スペシャルなので早く帰りたいです、とスタッフからの訴えがあり、終礼は巻き気味で終了。太閤堂は家族揃ってよく見ていたそうで、スペシャルのエンディングを見ながらぐっときている様子。わたしもそれなりに思い出はあるけれど、今はセンチメンタルになりたくなくて、黒柳徹子さんと草野仁さんがしっかり挨拶されてフィナーレを迎えられたのがよかったな、ということと、映像こそカットされていなかったけれど坂東英二は今どうしているのかなということを考えていた。

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  • 今日聴いたもの…(いずれも作業場で仕事しながら)爆笑問題カーボーイ(オープニングの太田さんのトークが、聴けない心待ちの時があるので最近追えていなかった。再編集版のPodcastは時々聴いているのだけど。radikoでしか聴けない「CD田中」、今回面白かった)、ハライチのターン(後半のフリートークは好きなのだけど、スポンサーコーナーのテンションが、夜聴くには少し高くて、聴く順序が後回しになりがち)